巳巳展×外山文彦展 2022-Gallery YUYAMA
巳巳(mimi)展×外山文彦展
ご挨拶

ギャラリー湯山2022年度のスタート企画として、「越後妻有 大地の芸術祭2022」の開幕に合わせ、「巳巳展×外山文彦展」を開催いたします。
1階(外山文彦展)と2階(巳巳展)、階を隔て2つの個展を同時開催する本企画には、「大地の芸術祭」から生まれたこの“場”そのものへの意識がキーワードとして内包されます。すなわち展覧会の基軸として、築110年の“古民家”ギャラリーに対しそれぞれが異なる視点から向き合うことを置きました。
2つは単独の個展としても成立するものですが、スペースが持つここにしかない特性を、企画展としてより浮き彫りにさせたいと意図したものです。ここギャラリー湯山は新潟県内の作家らで運営委員会を組織し活動することになった2012年から数えれば10年となりますが、1階と2階とで異なる個展を構成する展示は初となります。

出展の2人を簡単に紹介いたします。

外山文彦(新潟県長岡市)は、市販キャンヴァスの裏側を使い生のままの素材感とともに作品化するシリーズを長年にわたり制作しています。普段人の眼に意識されず何の変哲もないと見られがちな“裏側”を、そこに潜む意外な美しさとして追求する作品ですが、一方でインスタレーションや野外展では、鉄板や建築建材、業務用品などのモジュールが定まった既製品が好まれ使われています。こちらも素材そのものには何の変哲もなく、ほぼそのままのかたちで空間に対して仕掛け、明快な表現につなげます。ミニマルな構成でありながら無機的な感覚とは無縁で、落ち着きをもった静かな感覚の響きをもたらします。

巳巳(東京都)は、2019年巳巳宣言(Mimi Manifesto)を出し、それまでの田島鉄也から改名しました。現代文明に違和感を持つという巳巳は、自然と身体を同時に表現する素材として嘗てしばしば食材を使ってきましたが、近年はインターネットを使って“言語”や“論考”による作品を立て続けに発表、昨年の東京都美術館(建築家前川國男が設計)では建築家へのオマージュと建物が持つ謎への思索をインスタレーション作品に昇華させるなど、今やその関心領域は大きく拡がっています。科学技術や社会にもおよび、その土地固有の歴史、民俗学的な観点から掘り下げた制作など多岐にわたります。

2作家は共に60年代の生まれ。かつ、大学での専攻は理数系で、そこから現代美術のフィールドで活躍するという興味深い共通項はありますが、2016年の「地下光学展」(東京・Dungeon)を除けば一緒に活動した形跡はなく、制作へのアプローチもかように異なるものです。それぞれの表現を、またそれらが織り成す世界を、お愉しみいただければ幸いです。


DMに使われた画像について
-建築家・前川國男に対しての2人の作品制作と、そこに見える差異-

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